kintone の開発・カスタマイズを頼む前に決めること:どこまで kintone で作り、どこから別のシステムにするか

ベンダーマネジメント
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kintone は、自分たちで業務のアプリを作れる便利なサービスです。使い込むほど、「この画面の動きを変えたい」「ほかのシステムとつなぎたい」という要望が出てきて、カスタマイズや開発を頼む場面がやってきます。この記事では、サイボウズの公式資料をもとに、頼む前に決めておくことと、kintone の中で作り込むか、別のシステムにするかの目安をまとめます。

kintone で業務のアプリを作り始めると、最初は標準の機能だけで十分に回ります。ところが、使う人や業務が増えるにつれて、次のような要望が出てきます。

  • 入力の画面で、条件によって項目を出したり隠したりしたい
  • 会計や販売管理など、ほかのシステムとデータをやり取りしたい
  • お客様や取引先にも、入力や確認をしてもらいたい
  • 一覧や集計の画面を、もっと見やすくしたい

こうした要望は、プラグインを入れる、JavaScript で作り込む、外のシステムとつなぐ、といった方法でかなえられます。一方で、頼み方を間違えると、作ったあとに直せない、kintone の更新で動かなくなる、思ったより費用がかかる、といったことが起きます。

この記事は、kintone を使っている会社で、カスタマイズや開発を頼もうとしている担当者に向けて書いています。次のことを順にまとめます。

  • kintone の作り込みの4つの段階
  • 契約のコースで、できることが違う
  • 頼む前に決める7つのこと
  • kintone の外に出したほうがよい目安
  • 頼み先の探し方と、頼むときに渡すもの

この記事の内容は、2026年11月6日時点のサイボウズの公式サイト、ヘルプ、開発者向けサイト(cybozu developer network)にもとづいています。料金は税抜きです。

kintone の作り込みの4つの段階

kintone で業務をもっと便利にする方法は、大きく4つの段階に分けられます。下の段階ほど自由に作れますが、作る費用と、直し続ける手間も増えます。

段階何をするか例
1. 標準の機能アプリの設定だけで作る項目の追加、一覧、グラフ、通知、アクセス権
2. プラグイン・連携サービス他社が作った部品を入れる帳票の出力、入力画面の制御、外部サービスとの連携
3. JavaScript・CSS のカスタマイズアプリに専用のプログラムを足す画面の動きを変える、入力の確かめ方を増やす
4. 外のシステムとつなぐ・別に作るAPI でデータをやり取りする、別のシステムを作る会計システムとの連携、お客様向けの画面

頼む前に大事なのは、「その要望は、どの段階で実現するのが合っているか」を考えることです。標準の機能やプラグインで済むことを、JavaScript で作り込む必要はありません。逆に、kintone の中で無理に作り込むより、別のシステムにしたほうが、あとで楽になることもあります。

サイボウズは、kintone で使えるプラグインや連携サービスを、製品サイトで探せるようにしています(プラグイン・連携サービス)。開発を頼む前に、まずここで同じことができる部品がないかを探してみてください。

よくある要望と、まず考える段階

よく出る要望について、まずどの段階から考えるとよいかを並べます。実際にどれで実現できるかは、アプリの作りと業務の細かい条件で変わるので、目安として見てください。

よくある要望まず考える段階考えること
条件によって、入力の項目を出したり隠したりしたい2 → 3同じことができるプラグインがないかを先に探す
見積書や請求書を、決まった形で出したい2帳票を出す連携サービスが多くある
会計や販売管理のシステムとデータをやり取りしたい2 → 4相手のシステムとの連携サービスがあるか。なければ API でつなぐ
一覧や集計の画面を、見やすくしたい1 → 2標準の一覧・グラフでどこまでできるかを先に確かめる
お客様や取引先に、入力や確認をしてもらいたい2 → 4人数と、見せてよいデータの範囲で決まる
複数のアプリをまたいで、複雑な計算や処理をしたい3 → 4処理が重くなるなら、kintone の外で処理する作りも考える

1つの要望に、複数の段階の答えがあることも多いです。頼むときには、「この方法しかない」と決めつけずに、段階ごとの案を出してもらうと、費用と、直し続ける手間を比べられます。

契約のコースで、できることが違う

意外と見落とされるのが、契約しているコースです。kintone には3つのコースがあり、カスタマイズや外との連携が使えるかどうかが違います(kintone 料金)。

ライトスタンダードワイド
1人あたりの月額1,000円1,800円3,000円
最低の契約人数10人10人1,000人
作れるアプリの数2001,0003,000
プラグインなどの拡張使えない使える使える
外部サービスとの連携使えない使える使える
1つのアプリの、1日の API の回数使えない10,000回100,000回

ライトのコースでは、プラグイン、JavaScript・CSS のカスタマイズ、外部サービスとの連携が使えません。 作り込みを頼むなら、スタンダード以上に変える必要があります。費用は1人あたり月800円の差なので、50人で使っていれば、月4万円、年48万円ほど増えます。

カスタマイズの費用だけでなく、コースを変える費用も含めて、予算を考えてください。

頼む前に決める7つのこと

1. 困っていることを、業務の言葉で書く

「JavaScript で画面を変えたい」「API で連携したい」は、やり方の話です。頼む前に、「何に困っていて、どうなればよいか」を業務の言葉で書いてください。

たとえば、「受注のアプリで、案件の種類によって入る項目が違い、入力の漏れが月に数件ある。種類を選んだら、必要な項目だけが出るようにしたい」のように書きます。こう書けば、頼まれた側は、標準の機能で済むか、プラグインで済むか、作り込みが要るかを判断できます。

業務の流れを先に整理する方法は、「業務の流れを図にする:システム化の前に整理すること」にまとめています。

2. 標準の機能とプラグインで済まないかを、先に確かめる

カスタマイズは、作ったあとも直し続ける必要があります。同じことが標準の機能やプラグインでできるなら、そのほうが長く楽に使えます。

プラグインにも、提供している会社があります。サイボウズのヘルプでは、プラグインや連携サービスについての問い合わせは、サイボウズのサポートではなく、提供元に問い合わせるよう書かれています(API、カスタマイズ、プラグインや連携サービスに関するお問い合わせ)。入れる前に、提供元のサポートの範囲と、更新が続いているかを確かめてください。

3. カスタマイズを、誰が直し続けるかを決める

JavaScript のカスタマイズは、作って終わりではありません。理由は2つあります。

1つ目は、kintone 自体が更新され続けることです。サイボウズの方針では、毎月第2日曜に定期メンテナンスがあり、API の更新は4週間前までに告知されます。ただし、緊急の脆弱性の修正などでは、事前の告知がない場合もあります(API アップデートの方針)。

2つ目は、作り方によっては、更新で動かなくなることです。サイボウズの開発者向けのガイドラインでは、kintone の画面の部品に付いている名前(id や class)や、画面の組み立て(DOM の構造)は予告なく変わると書かれています。そのため、これらを直接いじる作り方はせず、kintone が用意している JavaScript API を使うよう求めています(コーディングガイドライン)。

さらに、サイボウズのサポートは、JavaScript や CSS を使ったカスタマイズの問い合わせを受け付けていません(API、カスタマイズ、プラグインや連携サービスに関するお問い合わせ)。動かなくなったときに直せるのは、作った人か、作りを読める人だけです。

頼むときには、次のことを決めておきます。

  • kintone の更新の告知を、誰が見て、影響を確かめるか
  • 動かなくなったときに、誰に、どう連絡するか
  • 作った会社との保守の契約を結ぶか、結ばないなら社内の誰が見るか
  • ガイドラインに沿った作り方(kintone の JavaScript API を使う)で作ってもらえるか

4. 外とつなぐなら、API の回数を見積もる

外のシステムとつなぐときは、API の回数の上限に気をつけます。スタンダードのコースでは、1つのアプリにつき、1日10,000回までです(kintone 料金)。

サイボウズの開発者向けサイトによると、上限を超えると管理者にメールが届き、ほかの利用者に大きな影響があるときは、API の処理が止められることもあります。回数が増える原因としては、カスタマイズやプラグイン、連携サービスが大量の API を呼んでいることが挙げられています(API リクエスト数の超過メールが届いたら)。

たとえば、「5分おきに、別のシステムから全件を取りに行く」作りにすると、1日で288回です。全件が1回で取れないほど多ければ、回数はその何倍にもなります。API で一度に取れるレコードは500件までだからです(レコードの一括取得)。プラグインや別の連携も同じアプリの回数を使うので、合計で考えます。

頼むときには、「どのアプリと、どのくらいの頻度で、どれだけの件数をやり取りするか」を伝えて、回数の見積もりを出してもらってください。

5. データの量と、使い方の見通しを伝える

kintone のレコードの数には、上限がありません。ただし、サイボウズのヘルプには、レコードが増えるとアプリの動作が遅くなる場合があると書かれています(制限値一覧)。同じページには、次のような制限や目安も載っています。

  • 1つのアプリに置ける項目(フィールド)は、500個まで
  • 表(テーブル)は、10項目・100行までを目安にするのがおすすめ
  • JavaScript と CSS のファイルは、1つのアプリにつき、PC 用とスマートフォン用でそれぞれ30個まで

今の件数だけでなく、3年後、5年後にどのくらいになるかを伝えてください。件数が大きく増えるなら、集計や検索の作りを最初から考えておく必要があります。

6. 誰が使うかを決める

kintone は、契約したユーザーが使うサービスです。社内の人だけが使うなら問題ありませんが、お客様や取引先、現場の協力会社など、社外の人にも使ってもらいたい場合は、使い方の設計が変わります。

社外の人に使ってもらう方法には、ゲストユーザーとして招く、連携サービスで入力の画面を外に出す、別に専用の画面を作って API でつなぐ、などがあります。どれが合うかは、人数、使う頻度、見せてよいデータの範囲で変わります。頼む前に、「誰に、何をしてもらいたいか」を決めておきます。

7. 作ったものの置き場所と、引き継ぎの方法を決める

JavaScript のファイルやプラグインは、kintone のアプリの設定の中に入ります。そのため、元になるプログラム(ソースコード)や説明の資料が、作った会社の手元にしかない、ということが起きがちです。

頼むときに、次のことを決めておきます。

  • 元になるプログラムを、自社が持てる場所(自社の GitHub など)に置いてもらうか
  • 何を、なぜそう作ったかの資料を、どこまで残してもらうか
  • 作った会社が変わっても、別の人が直せる状態にしておくか

開発を頼む会社を替えるときの注意点は、「開発会社を途中で変えるとき:引き継ぎで渡すものと、確かめること」にまとめています。

kintone の外に出したほうがよい目安

kintone の中で作り込むか、別のシステムにするかに、決まった答えはありません。ここでは、別のシステムを考えたほうがよい目安を挙げます。1つでも当てはまれば、kintone の中での作り込みと、別のシステムとを比べてから決めることをおすすめします。

目安なぜ別のシステムを考えるか
お客様など、社外の大勢に使ってもらいたいkintone はユーザーごとの契約なので、人数が増えると費用と管理が大きくなる
画面の見た目や動きを、大きく変えたい画面の部品を直接いじる作りは、kintone の更新で動かなくなるおそれがある
API の回数の上限に、何度も近づく上限を超えると、処理を止められることがある
大量のデータを集計・分析したいレコードが増えると動作が遅くなる場合があり、集計の作りに工夫が要る
JavaScript のファイルが増え続けている直すたびに影響の範囲を確かめる手間が増え、直せる人が限られる

別のシステムにする場合も、kintone を全部やめる必要はありません。社内の人が使う入力や管理は kintone のままにして、お客様向けの画面や重い集計だけを別に作り、API でつなぐ形もあります。

逆に、社内の決まった人数で使い、要望が画面の小さな改善や入力の確かめ方くらいなら、kintone の中で作り込むほうが、費用も手間も小さく済みます。

今のシステムを直し続けるか作り直すかの判断の考え方は、「古いシステムは直すか、作り直すか」にもまとめています。

頼み先の探し方

kintone のカスタマイズや開発を頼める先は、サイボウズのパートナーネットワークで探せます(サイボウズのパートナーネットワーク)。どこに相談したらよいか分からないときのために、サイボウズはパートナー選定支援サービスも用意しています(パートナー選定支援サービス)。

kintone と別のシステムをつなぐ場合や、kintone の外に一部を作る場合は、kintone に詳しい会社だけでなく、Web のシステムを作れる会社にも相談すると、比べられる案が増えます。

相談するときは、何社かに同じ資料を渡して、案と見積もりを比べてください。比べるときに見るのは、金額だけではありません。

  • 標準の機能やプラグインで済む部分を、正直に教えてくれるか
  • サイボウズのガイドラインに沿った作り方をしているか
  • 作ったあとの保守を、どこまで引き受けてくれるか
  • 元になるプログラムと資料を、自社に渡してもらえるか

社内の管理の道具を、外の開発チームに任せるときの進め方は、「本業の開発で手一杯なとき、社内の管理ツールを外の開発チームに任せる」にまとめています。

頼むときに渡すもの:チェックリスト

最後に、相談するときに用意しておくとよいものをまとめます。全部がそろっていなくても相談はできますが、そろっているほど、見積もりのずれが小さくなります。

今の状態

  • 契約しているコースと、ユーザーの数
  • 対象のアプリの一覧と、それぞれのレコードの件数
  • 入れているプラグインと、すでにあるカスタマイズの一覧
  • 今の API の使用回数(kintone の「アプリ管理」の画面で確かめられます)

やりたいこと

  • 困っていることと、どうなればよいか(業務の言葉で)
  • 使う人(社内か社外か、人数、使う頻度)
  • つなぎたいシステムと、やり取りするデータ、頻度
  • 3年後、5年後のデータの件数の見通し

作ったあと

  • kintone の更新の確かめを、誰がするか
  • 保守を頼むか、社内で見るか
  • 元になるプログラムと資料を、どこに置くか

API の使用回数を「アプリ管理」の画面で確かめられることは、サイボウズの開発者向けサイトに書かれています(API リクエスト数の超過メールが届いたら)。

よくある質問

ライトのコースでも、カスタマイズを頼めますか?

ライトのコースでは、プラグイン、JavaScript・CSS のカスタマイズ、外部サービスとの連携が使えません。カスタマイズを頼むなら、スタンダード以上のコースに変える必要があります。

カスタマイズしたアプリが動かなくなったら、サイボウズに聞けますか?

サイボウズのサポートは、API の仕様の問い合わせは受け付けていますが、JavaScript や CSS を使ったカスタマイズの方法についての問い合わせは受け付けていません。作った会社か、社内で作りを読める人が直すことになります。頼むときに、保守を誰がするかを決めておいてください。

API の回数の上限を超えると、どうなりますか?

管理者にメールが届きます。ほかの利用者の環境に大きな影響があるときは、API の処理が止められることもあると、サイボウズの開発者向けサイトに書かれています。回数は、日本時間の毎日午前9時に戻ります。

プラグインと、JavaScript のカスタマイズは、どちらがよいですか?

同じことができるプラグインがあるなら、まずプラグインを考えてください。提供元が更新を続けてくれるので、kintone の更新への対応を自社で抱えずに済みます。プラグインでできないことや、自社の業務に合わせた細かい動きが必要なときに、カスタマイズを考えます。

kintone をやめて、全部を別のシステムにしたほうがよいですか?

一概には言えません。社内の人が使う入力や管理は kintone のままにして、社外の人が使う画面や重い集計だけを別に作る形もあります。困っていることが、kintone のどんな制限から来ているかを整理してから、決めることをおすすめします。

レコードが何件くらいになったら、遅くなりますか?

サイボウズのヘルプでは、アクセス権や絞り込みを設定していない1つのアプリに100万件を登録した状態で、問題なく使えることを確かめたと書かれています。ただし、速さはアクセス権、絞り込みの条件、項目の数などで変わるとも書かれています。件数だけでなく、使い方で決まると考えてください。

宮﨑 達也

この記事を書いた人・監修

宮﨑 達也

クリーヴァ株式会社 代表

現場で働く人が、本来向き合うべき仕事に集中できる「仕組み」づくりを支援している。業務の整理から設計・開発、公開後の改善まで伴走し、AI で自社のシステムをつくる企業を支える「せんせいAI」を提供している。

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